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2011-10

乳房再建について

今月は乳がん関連のセミナーが続いていて、先週末もイデアフォーというグループ主催の講演会に行ってきました。今回の話題は「病理診断の現在」で、現役の病理医であり、大学教授でもある堤寛先生が講演して下さいました。病理というと現代医学の先端といったイメージがあるんですが、実際は熟練病理医の勘に頼らざるを得ないところも多く、マニュアル化することの難しい領域のようです。5人の病理医がいたら5通りの診断が出ることもあるそうで、私たち講演を聴きに行った患者たちは複雑な思いを胸に帰途につくことになったのではないでしょうか。

病理の話題もまたゆっくりと取り上げてみたいと思いますが、今日は乳房再建についてお話したいと思います。

右胸全摘手術を受けて1年ちょっと経った今、相変わらず再建することも無く、スポーツクラブに通って普通にシャワーを浴びたりお風呂に入ったり、温泉に行ったりもしています。私は比較的、乳房を失った事に対する大きな喪失感のようなものは少ない気がします。なぜかと考えてみると乳房だけが女性の象徴だと考えていないからです。女性としての魅力の一つになり得る事には同感しますが。

でも乳がん患者の多くの方が、私とは違った考えをお持ちのようで(というか私が少数派という事ですね)、同時再建(又は一次再建と呼ぶ)という乳がん摘出手術と同時に再建手術を行う手法を選択するケースも少なくないようです。アメリカでは日本の比でないくらいの同時・2次再建(乳がん摘出から日を改めて再建手術をする)が行われているようです。

乳房だけが女性の象徴ではないと思っているとは云え、全く再建を考えていない訳ではありません。やはり再建すれば、より自然な姿でジムに行ったり、温泉に行ったりも出来ますし、服を着た時のバランスなんかも気にしなくて済みます。幸い(?)な事にもともとの乳房のサイズが小ぶりなので、ボリュームのある方に比べて苦労が少ないのも再建無しで違和感感じずにここまで来れている気もします。

では何が再建への道を遠ざけているのかと申し上げますと、やはり日本での保険適用に関する問題です。乳房再建で保険が適用されるのは、自家組織を使った再建のみです。自家組織として選べる箇所は2つあり、背筋もしくは腹筋です。これはあまりに意地悪な究極の選択ではありませんか!背筋も腹筋も健康に余生を過ごす為には大事な筋肉です。なぜ筋肉を取らなければいけないかというと血管をつなぐ必要があるそうなので、納得出来なくもないですし、そんな複雑な手術を保険適用でやってくれる事にむしろ感謝すべきなのでしょうが、、、それでも乳房再建の為に背筋か腹筋かなんて選択は出来ません!

そうなると豊胸手術同様にインプラントを埋め込むしか方法がありません。一応、どっかから採った脂肪を持ってきて乳房に注入というような手法もあるようですが、採る脂肪のある方に限られますし、血の通っていない冷たい乳房にただ脂肪を注入、、というのでは形の安定度は低い気がします。

インプラント再建だって、一生ものではないはずです。仮にこれから再発もなく40年生きるとして、40年も埋めこんでおけるものでしょうか?仮に出来たとしても80代のおばあちゃんが右胸だけ40代っていうのもイメージしにくいです。

そんな理由で、再建にはさほど積極的なプランの無い私ですが、先日アラーキーこと荒木経惟氏の「いのちの乳房」を拝見し、とっても感動しました。乳がんで乳房を失った女性が再建し(再建中の方もいます)ヌードでポーズを取っている写真集なんですが、どの女性もすごく良い表情をしているんです。ちょっとはにかんだ感じでいながら嬉しそうな彼女たちを観てい私まで嬉しくなってきました。みんな失意のどん底を一度は経験しているんだろうなぁを思うと、同時に涙も出てきました。この写真集のプロジェクトを立ち上げた女性3人で構成する異業種交流的ワーキングチーム、そしてアラーキー氏の情熱が上手く相乗効果をあげた作品になっています。私も微力ながら貢献していきたいなと思わされます。

中村清吾先生もあちこちの講演に出られていますが、インプラント再建の保険適用への働きかけなどもされているようで、嬉しい限りです。術後5年となる2015年ぐらいにインプラント保険適用となった時には再建考えてみてもいいかな?なんてぼんやり考えてます。

それに恋愛だってまだするかも知れないし、「胸の一つくらいなくたって君が好きだ」なんて言ってくれる男性が現れないこともないでしょうが(ゼロではないでしょう、、と信じたいという意味です)、人工乳房でもあった方が事がスムーズに行くのかなぁ、、とも思いますしね(笑)。

(↓先日行った道後温泉での湯上りのくつろぎ場より)
道後温泉2Fでまったり
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ピンクリボンについて

pinkribon

本日、有楽町で開催されたピンクリボンシンポジウムに行って来ました。1000人以上の応募があったらしく抽選になっていたとの事です。満席状態でした。年齢層は以外にも他の乳がんセミナーよりもやや高めに感じました。6割は患者らしいです。
、、と言ってもピンクリボンを全面的に支持している訳でもないし、今さら乳がん早期発見の必要性の訴えを聞きに行くまでも無いのですが、何か新たな視点で考えさせられるような事があるんではないかといった期待と、何と言ってもお目当は乳腺外科領域でのカリスマ的存在でもある中村清吾医師の講演でした。

本や雑誌などメディアを通じた活動も多く、聖路加国際病院外科医長などを経た後、ブレスト・センター立ち上げ後、現在は昭和大学でもブレスト・センターを立ち上げ、後継者育成にも力を入れておられるようです。さすがこの領域の第一人者だけあって、講演内容も最新の情報を盛り込んだタイムリーなお話でした。日本で認可される新薬のお話や再建の自家組織以外のものへの保険適用についてなど興味深い内容でした。そして先生ご自身の生い立ちについてのお話なども本などでは触れていないような内容がとても新鮮で、先生を身近な存在に感じさせてくれます。

NYにも中村医師のUS版とも言えるような乳腺のカリスマドクターがいました。今から10年以上前なのにすでにICレコーダーを使って、患者への説明と記録を同時に行っていました。患者にとっては血の通ってない無機質な説明は、その場で質問しづらかったり迷惑な話でもあるんですが、彼の腕を頼って集まってくる患者の数を考えたらやむを得ない事なんだろうと思ってしまいます。予約があっても3,4時間待ちはザラでした。彼も腕の良さに加えてかなりのいい男でした。

そんな訳で日曜の午前の習慣でもある1時間のヨガのクラスを終えて、軽くシャワーをあび、ランチは後回しにシンポジウムへと出かけて参りました。

それにしても、“早期発見“ってどういう事を言うのか難しいところです。
私の例でもおわかりの通り、30代半ばから定期健診をし続け、手に触れるしこりは良性(乳腺症)で、乳腺症はむしろがんになりにくいとさえ言われてき続けて、突然10年たって言われたのが、

「3cm大の乳がんが見つかりました、もう初期の大きさじゃありません。」でした。
泣くに泣けない心境でした。じゃ、今までの検診は何だったの?という気持ちでいっぱいでした。(この段階でのステージは 2a )

そうかと思えば、右胸全摘手術後の病理の結果は、非浸潤の乳がんでステージ・ゼロ期と判定。とりあえず結果としては「早期で良かったね」という事になります。

後から思えば、これは見落としではなくて、手に触れるしこりは最後までがんにはなってなかったようで、手には感じられない部分でがん細胞は女性ホルモンという餌を吸収すべく新生血管を自ら作り上げ増殖してきたところ、3cm大になったところで画像に姿を表すようになったようなんです。

乳がんは時間をかけてゆるやかに成長していくので1cm大になるまで8年程かかるといわれていますが、倍倍に増えていくのである時点から増殖のスピードが速まるそうです。画像に病変らしき姿を現す瞬間を捉える事がその後の治療の難易度に対する明暗を分けるのかも知れません。

私のように毎年検診を受けていても3cm大になるまで発見する事が出来なかった乳がん、これは年齢的な要素も影響してのかも知れません。若いと乳腺密度が高い故にマンモグラフィーの画像に異変が見え難い状態になるようです。私が40半ばにして異変が発見されたのは乳腺密度(胸の大きさとは関係ないようです)が年齢と共に薄まりつつある時期にさしかかっていたからだったのではないでしょうか。

でも腑に落ちないのは、乳腺のベテラン医師から「もう検査に来なくても良いよ」「何か異変を感じたらまた予約取って来てください」と言われていたにもかかわらず、皮肉にもすぐその後に同じ病院の若手新任医師から乳がんの告知を受ける事になった点です。異変なんて無いまま進行していく場合も多いのに病院側は何でも無いのに検査に来る人をむしろ除外したがっている現状があるわけです。医師側だけを責める訳にはいかないのでしょうが、医師達ももっと深刻な患者を優先的に診ていかなければというくらい多くの患者を抱えてやっているのでしょう。

もう来なくていいと言われても、早期発見は大事だという事なんでしょうね、きっと。

ピンクリボンも単に「早期発見」「早期発見」というだけでなく、何をもって早期発見というのか等、もっと根本的な情報を丁寧に発信していって欲しいと思います。皆にわかり易く、、、と言って単純言語化すると誤解を招くだけになりかねません。乳がんはひと言で言っても症状や治療など千差万別でとても説明するには複雑な部分もあるかとは思いますが、早期発見だけをうったえても誰もその必要性を理解出来ないと思います。理解できるのは一度乳がん告知を受けた人もしくは、近い存在(配偶者・親・兄弟・親戚・友人・同僚等)にそういった経験をした人がいる場合のみになってしまいます。

乳がんと戦うという言葉にも違和感があります。そもそも戦えるものなのかもわからないですし、西洋医学で実績を積んできた医師ですら未開の領域がまだまだ残る中、がんとどう共存していったらいいのか、そういった方向でのお話をもっともっと深めていけたら、そしてこれからは対処両方だけでなく原因に関する研究のお話なんかも進めていって欲しいところです。

今日のシンポジウムは、患者が6割参加していたせいか、あまり初歩的すぎず、思っていたよりは良かったと思います。

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プロフィール

デビハリ(debbyharry)

Author:デビハリ(debbyharry)
アラフォー・シングル・一人暮らしで失職した矢先の2010年6月に検診を経て乳がん告知を受け、8月に右胸全摘手術。3cm大のサイズから術前ステージⅡaと言われるものの、術後の病理の結果はゼロ期(DCIS)と判明。以降は無治療・無再建で現在に至る。告知から手術までの1ヵ月半の情報収集・数々の決断等が少しでも皆様の参考になればと思います。

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